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[佐藤ひと美のスイーツレポート④]日本で愛され続ける海外発スイーツ専門店 ① ~ユーゴ アンド ヴィクトール編~

[佐藤ひと美のスイーツレポート④]日本で愛され続ける海外発スイーツ専門店 ① ~ユーゴ アンド ヴィクトール編~

2018/08/03

古屋・東京・京都などを中心に活躍するスイーツライターの佐藤ひと美さんが、今、ホットなスイーツ情報をお届けします!

 

第1回「HUGO & VICTOR(ユーゴ アンド ヴィクトール)

 

 

アートや文学など、カルチャーからの発想による革新的なデザインに昇華させながらも、厳選素材を用いた季節感溢れるスイーツを生み出すユーグ・プジェ シェフ。
フランスの中でも指折りの、モダンなパティスリー&ショコラトリー『HUGO & VICTOR(ユーゴ アンド ヴィクトール)』を立ち上げたのは2010年のこと。2015年には海外初出店として日本上陸を果たしています。

 

有機野菜や新鮮な旬の果実などの“素材”を最も重視し、厳選することは大前提。伝統も大切にしながら、クラシックなレシピを現代的で斬新な発想とコンセプトアレンジで融合させ、毎年驚きのクリエイションで楽しませてくれています。

 

 

そんなユーグ シェフに『HUGO & VICTOR』のこだわりを伺いました。

 

 

--ユーグ シェフがパティシエを目指したきっかけは何ですか?

幼い頃から家で母親がタルトタタンやムース・オ・ショコラ、イル・フロッタントなどを作ってくれていたので菓子作りはとても身近な存在でした。そんなこともあってパティシエや料理人になる事を目指し、14歳には専門学校に入り料理や菓子について幅広く学びました。

 

--ユーグ シェフが創り出すアントルメやショコラなどの全てが、ガストロノミーレストランに似た印象を強く受けるのですが……。

そう思って下さるのは凄く嬉しい!

オリジナリティを大切にしながら、僕が創り出せる最高のラインナップで皆様を楽しませたいと思っています。

 

 

--『HUGO & VICTOR』のすべての商品に共通する「こだわり」は何でしょうか?

一番大事にしているこだわりは、シーズン(季節)を大切に商品作りをすることです。例えばチョコレートに関して挙げると、春夏秋冬それぞれを意識して旬の果物を使いクリエイトしています。

夏はフランスも日本も暑いので、アイスクリームにも力を入れていて、キャラメルフレーバーがとても人気が高いです。あとは、フルーツタルトもフレッシュで爽やかなので売れ行き好調ですね。

 

--それぞれを手作業で丁寧に作られていらっしゃいますが、特に心掛けている点は?

第一は「いかに良い素材と出会い、使いこなすか」です。フルーツのタルトを作るので、常にフレッシュな商品を提供していかないといけません。僕は、大好きな果物であるピンクグレープフルーツを使ったTarte pamplemousse(タルト パンプルムース)という商品が、全てのラインナップ内で一番好きなのですが、パティスリーに最高な状態で並べるためには、質の良い素材とフレッシュであることだと思っているからです。

 

 

--『HUGO & VICTOR』といえば、マカロンやショコラに合成着色料を一切使用していないところも特徴の一つだと思いますが、そこに行きついた理由は何だったのでしょう?

安全性に詳しい日本の皆様がご存知のとおり、着色料はあまり身体によくありません。着色料を一切使用せずに自然の素材で色付けができないかと2年間試行錯誤して完成したのが、野菜や果実やスパイスのパウダーです。これにより自然な色味で表現できるようになりました。

 

 

--マカロンは淡い色使いですが、ショコラはグラデーションのものもありますよね。特に夏のスフェール新作カルネ・ド・レテBOXに入っている「ミルティーユ」の色付けはどのように行っているのですか?

まず、ブルーベリーキャラメルペーストが中に入ったショコラノワールのスフェール(ドーム型ショコラ)を作ります。仕上げに半分を野菜パウダーのみで、出来上がったオリジナルの青色をピストレという色付けガンでシュッとかけてグラデーションを作ります。

 

 

--2014年のサロン・デュ・ショコラ パリで、初めてユーグ シェフの作るプラリネショコラを頂いたのですが、驚くほど香ばしさや味わいの深みを感じました。プラリネにも特別な手法をとっているのでしょうか?

僕もプラリネはとてもおいしく出来上がっていると思います。他のラインナップ同様、素材へのこだわりもありますが、使う砂糖の量を通常より控えることでナッツそのものの味の良さを引き立たせています。

 

 

--ショコラティエとしてのカカオへのこだわりは?

素材を大切にしますが、カカオに関しては最高のクーベルチュールチョコレートを作るメーカーを信頼して使用しています。

ショコラ作りのルセット(レシピ)によって、ペルーにするのかベネズエラにするのか、クリエイションする商品ごとにヴァローナやバリー・カレボーのクーベルチュールで何度もサンプルを作ります。カカオへのこだわりというよりも、いかに最高の素材を使用して最高のショコラに仕上げられるかです。

『HUGO & VICTOR』のショコラは基本的に68%~72%カカオを合わせ、フルーツベースだとしても甘すぎないように絶妙なバランスで仕上げることを重要視しています。

 

 

--日本初出店からこの秋で3年目を迎えますが、日本での『HUGO & VICTOR』を今後どのように成長させていきたいですか?

常に日本人のお客様を大切にしていきたいと思っております。今後も美しくおいしい商品を作り、お客様をワクワクさせ、驚かせていきたい。『HUGO & VICTOR』は全世界に展開していますし、僕自身旅行が大好きで、いろいろな国で受けたイメージをメランジュさせてクリエイションに回しています。それぞれの良さを掛け合わせたオリジナリティあふれる『HUGO & VICTOR』の商品をこれからも楽しみにして欲しいです。

 

 

--訪れた国で受けたイメージとのことですが、2017年クール・ド・フレーズは、2016年に日本のイチゴ農家を訪問したインスピレーションが影響されているのでしょうか?

そうです。そのイメージと、フランス産高級品種「マラ・デ・ボワ」を掛け合わせた濃厚な香りと強い甘みのショコラは非常に好評でした。

 

 

--最後に皆様にメッセージをお願いします。

選び抜いた素材・合成着色料を使用しない安心して食べていただけるガストロノミーのようなスイーツ作りで、今後も皆様をワクワクさせていきます。

 

 

--ユーグ シェフ、ありがとうございました。

 

 

シェフ・パティシエ「Hugues Pouget(ユーグ・プジェ)」プロフィール

日本でも有名な「LADURÉE」や5つ星ホテルである「LE BRISTOL」でキャリアを積み、「Hotel Normandy」でシェフ・パティシエを経験。その後、名門三ツ星レストラン「Guy SAVOY」のパティスリー・エグゼクティブ・シェフに就任。2003年、Champion de France des Dessertsにて優勝。2010年、フランス・パリにパティスリー&ショコラトリー『HUGO & VICTOR』を立上げる。「Louis Vuitton」「Dior」「Chloé」などのラグジュアリーブランドとのコラボレーション実績も多数。

 

HUGO & VICTOR 日本取扱店舗

■表参道ヒルズ店(東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ本館1F)
■玉川髙島屋S・C店(東京都世田谷区玉川3-17-1 玉川髙島屋本館1F)
■伊勢丹新宿店(東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿本館B1F)
■マロニエゲート銀座2店(東京都中央区銀座3-2-1 マロニエゲート銀座2-1)
■アトレ恵比寿店(東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 アトレ恵比寿本館3F)

 

—-今回掲載した商品—-

■カルネ・ド・レテ(6個入) スフェール 3,078円
■カルネ・シ・ショコラ(6個入) 2,592円
■マカロン(10個入) 3,564円

 


『HUGO & VICTOR』ユーグ シェフの作るショコラは美しいフェールのボンボン (ドーム型)と、シックなノート型のような箱が印象的。数年前私自身も「プラリネってこんなに上品な甘さを持っているんだ!」と驚かされたブランドです。

 

 

今回、「日本で愛され続ける海外発スイーツ専門店」をテーマに企画を考えていた際、タイミングよくユーグ シェフが来日されているということで貴重なインタビューのお時間を頂きました。

大好きな『HUGO & VICTOR』の世界を少しでもスイーツ好きな皆様と共有できますことを、とても幸せに思います。また今後も私のお勧めスイーツ専門店の特集を連載していきますので楽しみにしていてください。

 

執筆●佐藤ひと美
スイーツライター、スイーツジャーナリストとしてスイーツ情報や、各地方のスイーツ、グルメ(レストランデセール)の情報を発信しながら、スイーツの裏に隠れている由来や歴史・シェフの想いなども多くの方へ伝えていこうと、《美味しい食べ物は人を幸せにする》をコンセプトにメディア・WEB媒体で執筆中。